奇数の音を愛す

勉強したくないなー

今頃企画とかやってるんだろうなー

いいなーどんな企画なのかなー 聞きたいなー

僕も企画やりたいなー

という欲求不満が固まってブログの1記事になりました笑

(ここから本題)

 2ビートブルーグラスの中で(一部の例外を除き)もっとも細かい音符はバンジョーのロールの1音分、つまり16分音符です。1小節に8個、1拍に4つの音を詰め込むのは各楽器のソロパートとバンジョーのロールのみで、つまり1曲を通して常時この「もっとも細かいリズム」を担っているのは他ならぬバンジョーということになるでしょう。

 ブルーグラスにはこのもっとも細かいリズムでしか出せないテイストがあります。1小節に8個の音が並んでる様子を想像してください。

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0 1 2 3 4 5 6 7

 この音符に前から順に0, 1, 2, ... ,7 と番号を振ります。この時奇数番目の音の位置はそれを挟んでいる偶数番目の音のちょうど真ん中にある――わけではありません。ちょうど真ん中の位置をフラットな位置と呼ぶならば、曲によってはフラットな位置から少々後ろにずれ込みます。フラットな状態で「タタタタ」と聞こえる音が、ずれた状態では「タッカタッカ」と聞こえます。(もっともこれはかなり大げさにずらした場合で、普通はそこまではずらさないものですが)このずれ込み具合こそ、ブルーグラッサーが言うテイストの1要素なのです。

 奇数番目の音を後ろにずらすリズムはなにもブルーグラスに特有のものではありません。一般にはスイングとかシャッフル*1と呼ばれるごく普通のテクニックですWikipedia*2にも載っています。ところが、現在のブルーグラス研究会でこの奇数番目の音の位置に言及する方は、あまりいません。僕がこの話題について議論していたと直接記憶しているのはチャーリーさんと水産のMさん(Bj)くらいです。

 この奇数番目の音を鳴らすパートは多くありません。さきほど解説したようにバンジョーのロールか各楽器のソロくらいのものです。ギターのストローク、ベース音、およびマンドリンのカットはすべて偶数番目の位置で音を鳴らしています。スイングのテイストを表現するのはバンジョーの仕事なのです。バンジョー弾きはぜひ様々なスイング具合のロールをマスターして欲しいです。僕も努力(は)しております。

 実際にどれくらいスイングさせるべきかは曲によります。ガイドラインを示せば、早い曲はスイングされず、遅い曲はスイングが強くなる傾向があります。同じ曲中でもバンジョーはフレーズによってスイング具合を局所的に変えているようです。というのは、同じスイング具合で様々なフレーズをコンピューターに打ち込んで鳴らしてみると、フレーズによっては違和感があるのです。フォワードロール系はスイングを浅めにかけている印象です。しかし、曲全体を通しての平均的なスイング具合は常に一定であるべきだと思います。それが曲の統一感を生むからです。原曲があるならそれを基準にするとよいと思います。人によって好みのスイング具合は違うようで(引退されたマンドリン弾きのMさんはソロで強めのスイングを好んでいたように思います)、バンド練ではスイング具合の統一というのも課題のひとつになるでしょう。

 テイストはスイング具合だけで決まるものではありません。(奇数番目の音ではなく)偶数番目の音の位置が常に一定であるのか、それともこれまた変動しているのか僕は判断しきれていませんが、これもテイストに一役買っているかもしれません。しかしスイング具合がテイストに噛んでいることは間違いないと思います。バンジョー弾きのみなさん、奇数の音を愛しましょう! それが僕たちの役目です。

*1:フィドルの奏法とは異義

*2:http://bit.ly/cbt8KP