弟2

弟2。小六。工作が好きだ。
ときどき自慢げな笑顔で僕に作品を見せてくれる。
それはアイスの棒を削って作った剣や槍だったり、写輪眼だったり、不思議な投法で垂直に飛んでいく紙飛行機だったり、けっこう痛い手裏剣だったり、血糊が付いていたり、むしろ本物だったり、戻ってくる竹とんぼだったりする。
両親に内緒で対ヴァンパイア用の木の杭(1/1スケール、刺さる)とか作っているので侮れない。
ダレンシャンの影響か……? もし、私が心臓を木の杭で貫かれるなんて時代錯誤な死に方をしたらこいつが犯人だ。


案山子さんの下で二年くらい修行すれば、立派なCHFアナログ要員になれると思う。
あー、でも、そもそも案山子さんと彼が会う機械は無いかなぁ。
添削指導? 通信講座製? むしろ、押しかけ女房とか。
弟2の将来は今から楽しみだ。


ところで、彼は最近おかしな行動を取ることがある。
何を思ったかいきなり僕の前に立って、自分の頭の上に手を乗せるのだ。
その手をスーと水平にずらし、僕の頭に当てる。
彼が一体何を意図しているのかは分からないが、ひどく得意げな顔が印象的だった。
そう言えばこのところ彼は爪先立ちを隠すのが上手になった。
こいつ絶対爪先立ちしているなと思って下を見ると、なぜか両足はきちんと地面についている。
きっと、視線を動かした瞬間にかかとを下ろしているに違いない。
我が弟ながら見上げた反射神経だ。


うん。そうだよ。あれはつま先立ちだった。
……え? 成長期?
あれ……、どうしてだろう。なんで涙が――。